東京都千代田区・秋葉原の税理士事務所タックス・ワンが民法について説明をします。

民法について

契約と意思表示

契約は申込と承諾の「意思表示」が一致したときに成立します(意思主義)。

「売ります」「買います」の「意思表示」で売買契約成立と同時に所有権も移転
して、商品債権と代金債権が発生します。
また、契約は口頭で成立します。
契約書はそれを証明をするためのもので、契約書がないと契約が成立しないわけ
ではありません。

※商品売買の法人税法上の売上の計上時期は、契約成立時ではなく、商品の引渡し
時(納品時)になります。民法上、動産の所有権の移転を当事者以外の第三者に
主張するには、引渡しが必要ですから。


その「意思表示」の構造を、民法は下記のように分解して説明します。

(あんパンを買う例)
1.動機:パン屋さんで、あんパンがおいしそうだから食べたいと思う

2.内心的効果意思:そのあんパンを買おうと決心する

3.表示意思:店員さんにそのあんパンを売ってほしいと言おうと決意する

4.表示行為:実際に店員さんにそのあんパンをくださいと言う


「意思表示」は上記のうち2から4までをいいますが、上記の1から4までが一致
していれば、基本的に問題なく契約は有効に成立します。
有効に成立した契約は、相手が制限行為能力者であるとか、詐欺や脅迫によって
なされた契約である場合を除いては、取り消せません。

取消しとは、契約は一応有効に成立しますが、取消しをすることによって、遡って
その契約が「初めからなかったこと」にすることです。
これに対して無効とは、その契約が初めから効力を生じていないことであり、取消し
は「追認」によってその契約を確定的に有効とすることができますが、無効は追認
できません。

取消しではありませんが、2の効果意思が「あんパンを買いたい」と思っているの
に4の表示行為が「ジャムパン売ってください」と申込み、その食い違い(「内心的
効果意思≠表示行為」)に本人が気づかずに売買契約が成立した場合(錯誤)、それ
に気づいた本人が一定の要件のもとに無効を主張すると、その売買は無効(初めから
なかったこと)になります。

仮装売買(虚偽表示)などの契約は、当事者間では当然無効ですし、冗談(心裡留保)
による契約は有効ではあるが、相手がその冗談を知っていたとすれば無効になります。

※虚偽表示:「内心的効果意思≠表示行為」を本人と相手方の両方が知っていること
 心裡留保:「内心的効果意思≠表示行為」を本人のみが気づいていること


意思表示を書面で行う場合の効力は、「申込」は書面が相手に到達(到達主義)
したとき、「承諾」は書面を投函(発信主義)したときです。

民法は「契約自由の原則」をとっています。公序良俗と強行規定に反しなければ
どのような契約を結ぶかは自由です。

「信義誠実の原則」というのもあって、契約の当事者はお互いに相手方の
信頼を裏切らずに誠実に行動する必要があるというものです。

2018/2/1

代理

税理士は、お客様を代理して税務申告を行います。

申告書の最後に添付された「税務代理権限書」がいわゆる「委任状」ですが、
この委任状には、2種類の契約が記載されております。
それは「委任契約」+「代理権授与契約」の2種類の契約です。

「委任契約」とは、法律行為である事務を委託する契約です。
そして、「代理権限授与契約」とは、その法律行為(委任契約の内容)を代理人
(税理士)が本人(お客様)に代わって「代理」して行う契約であります。

「代理」とは代理人が本人のためにすることを示して(顕名といいます)その法
律行為の内容を実行することによって、その法律効果を本人に帰属させる行為を
いいます。すなわち代理人が契約した結果生ずる債権債務を負うのは、代理を依頼
した本人ということになるのです。

「委任状」には冒頭に「私は~を代理人と定め下記の事項を委任します。」と記載
されるますが、これが「代理権授与契約」の締結を意味しているのです。


代理行為が成立する要件は、次の4つです。

①.本人が「権利能力」を持っていること。
 代理人行った契約などの法律行為の効果が本人に帰属するためには、本人に権利
能力がなければいけません。(自然人は生まれた時から権利能力を持ってます)

②.代理人が代理権を持っていること
本人から代理権を与えられていること。これがないと無権代理となってしまい、
代理人の行った行為は無効になってしまいます。

③.代理人が「顕名」をすること→相手に「本人を代理してます」と明示すること
これがないと、代理人の行った行為は、代理人と相手との間の法律行為となってし
まい、本人に効果が帰属しなくなってしまします。

④.代理人による有効な法律行為があること
代理人が相手と有効な法律行為(契約など)をするから、その効果が本人に有効に
効果帰属するわけで、無効な取引であれば、それは有効にはなりません。


※上記2「無権代理」の場合は、代理人の行為が確定的に無効となるわけではなく、
 不確定の無効なので、本人が「追認」すれば確定的に有効になります。


この「代理制度」ですが、民法では「自己契約」と「双方代理」の2つをを禁止し
ています。

「自己契約」とは、特定の法律行為の相手方の代理人となること。
 例えば、会社代表者がその代表者個人と取引することです。

「双方代理」とは、特定の法律行為の当事者双方の代理人となること。
 例えば、契約当事者である会社の両方の代表者が同一人物である場合です。

代理人は本人の利益のために動かなければなりません。しかし、上記の2つは
本人の利益にならないような取引をしてしまう可能性があるから禁止されているの
です。
自己取引では、代理人自身に有利な取引をするでしょうし、双方代理は、どちらかに
偏った取引をしてしまうでしょう。

このような会社と代表者との利益相反取引については、会社法で特別規定があり、
事前に株主総会もしくは取締役会において承認をもらうことによって、有効な取引
とするなど、その限度で民法の規定は排除されています。


代理には「法定代理」と「任意代理」があります。前者は、本人の意思に基づかず
に法律の規定によって代理人になる場合、後者は本人の信任を受けて代理人となる
場合です。契約による代理契約は後者です。


また、本人の信任を受けてなった代理人(原代理人)が、自分名義において更に
代理人(復代理人)を選任し、直接に本人を代理させる場合を「復代理」といい
ます。
未成年者の法定代理人や法人の代表者が税理士に申告を依頼した場合の、税理士
の立場は復代理人ということになります。

2018/3/1

民法改正前の時効制度について

時効とは、一定の事実状態が続いている場合、それが真実の権利関係と一致しているか否かにかかわらず、そのまま権利関係として認めてしまう制度です。

時効には「取得時効」と「消滅時効」があります。
①「取得時効」とは、他人の物又は権利を占有の開始から一定期間(10年間、占有のはじめに 権利が無いことを知っていた場合には20年間)所有の意思をもって、継続し て平穏かつ公然に占有する者にその権利を与える制度。
②「消滅時効」とは、債権や所有権以外の財産権について、権利を行使できる時から一定期間(債権は10年、それ以外は20年)継続してその権利を行使しない場合に、その権利を消滅させる制度

時効の効力はその起算日に遡及します。遡及するとは、時効によって認めようとする権利関係が、その起算日から発生していたものとするということです。
この起算日は
①取得時効については「所有の意思を持って、平穏かつ公然に占有を開始した 時点」
②消滅時効については、「権利を行使できる時点」(債権の弁済期到来時など)となります。

時効はその一定期間が過ぎれば完成するのですが、「援用」(エンヨウ)しなければ、その効果は発生しません。
「時効の援用」とは、時効の制度を利用する意思を相手に伝えることです。時効の援用をすることによって、援用した者は時効の利益を受けることができます。

この時効の利益を受けるかどうかは本人の自由です。時効完成後は、いつでも時効の援用をすることができますが、もし時効の利益を受けないならば、時効完成後に「時効の利益の放棄」をすることができます。時効の利益の放棄は、時効完成前にすることはできません。

時効期間の進行を「中断」させることができます。
「時効の中断」とは、それまで進行した時効期間を無意味なものとし、その効力がなくなり、振り出しに戻すことを言います。
時効の中断事由がなくなれば、新たに一から時効期間が進行します。

時効中断の方法として、「裁判上の請求」があります。これは、単に履行の請求をするのではなく、裁判所に訴えを起こすものです。その他にも「支払督促」「和解の申し立て」「調停の申し立て」などがあります。
裁判上の請求ではなく、「催告」(口頭若しくは内容証明郵便で請求すること)も中断事由となりますが、その場合の時効の中断は完全なものではなく、6カ月以内に「裁判上の請求」等をしないと時効の中断の効力は生じません。
また、時効の利益を受ける者債務者等が、債権者等に「一部弁済」「利息の支払い」をするとか、「もう少し待ってほしいと口頭で申し入れる」などすると、その時点で時効期間は中断し、新たに一から時効期間が進行します。これを「承認」といいます。

取得時効が完成し援用されると、占有者は時効の起算日に遡って所有権を「原始取得」します。これは他に何も権利のつかない真っ白な所有権を取得するということです。例えば、抵当権などは消滅してしまいます。

消滅時効に類似する制度に「除斥期間」(ジョセキキカン)というのがあります。
一定の時の経過により権利消滅の効果を認める制度です。除斥期間を過ぎると、その権利の行使ができなくなるということです。
除斥期間は、下記の点で消滅時効と異なります。
 ①援用が不要です。
 ②遡及効がありません。
 ③権利発生時を起算点とします。
 ④中断がありません。

国税の賦課権の期間制限には除斥期間の制度が使われています。
国税の賦課権の除斥期間は原則5年です。起算日は法定申告期限の翌日ですから申告期限翌日から5年経過すると、更正、決定及び賦課決定を行うことができなくなります。

国税の徴収権及び納税者の国に対する還付請求権は、時効制度が使われています。
起算日である法定申告期限の翌日から5年を経過すると徴収権及び還付請求権は消滅します。

2018/4/1